家計に悩む女性のイメージ写真写真はイメージです Photo:PIXTA

最近取り沙汰されている「住宅ローン金利の上昇」が現実となったとき、変動金利で借りている人には何が起こるのか?実は、金利が急上昇してもすぐには家計に痛みは跳ね返らない。しかしそこには、“時限爆弾”のように時間差で突然の家計破綻に追い込む、「真の恐怖」が潜んでいる。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

固定金利型がじわりと上昇!
変動金利型はどうなるか?

 この数カ月、「住宅ローン金利は急上昇するか」といったタイトルのメディア記事が増えてきている。住宅ローン金利が上がると困る人はいても、うれしい人はいないので、よく読まれるようだ。記事として取り上げられる要因は二つある。

 一つ目は、長らく動きがなかった固定金利型の住宅ローン金利が、今年に入ってからじわりじわりと上がっていること。大手銀行の10年固定型の適用金利を例に取ると、2017年1月から今年2月までは0.55~0.85%とかなり低水準で推移していたのが、3月に1%に引き上げられた。その後も少しずつ上昇が続き、11月には1.35%まで上昇した。

 住宅ローンの固定金利は、長期金利(10年国債の利回り)に連動する。日本の長期金利は、インフレ状態にある米国の長期金利の上昇につられて上がっている。

 一方、住宅ローンの変動金利は日本銀行の政策金利に連動する。日銀が設定しているマイナス0.1%という政策金利に変更がないため、変動金利型の適用金利は0.3~0.5%の水準で今のところ大きな動きはない。

 記事化される要因の二つ目は、日銀は金融緩和政策を終了するか否かの話題によるものだ。日銀の黒田東彦総裁の任期は来年4月まで。消費者物価指数も上がっているので、総裁が変わると異次元金融緩和の政策を終了させるのではないかと予測するエコノミストが少なくない。

 現在、変動金利の住宅ローンを借りている人は全体の約7割(住宅金融支援機構調べ)。メガバンクの担当者によると、今年に入ってからの新規ローンでは8~9割が変動金利ローンを選んでいるという。変動金利型は文字通り、金利は固定されていない。日銀が政策金利を引き上げると変動金利も上がることになるため、多くの住宅ローン利用者に与える影響は大きい。

 変動金利が上がるとどうなるのか、具体的なリスクを解説する。