米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、利上げを通じて経済の過熱を冷まし、インフレを抑えようとしつつ、金融政策が経済に及ぼす効果は曖昧で一貫性を欠くという問題にも取り組んでいる。ノーベル賞受賞者の経済学者ミルトン・フリードマンが、金融政策が経済に及ぼす効果は「長くして変わりやすい遅れ」を伴うと表現したことは有名だ。金融引き締めの効果が十分に出るまでに数年かかることもあるため、FRBは利上げを段階的に進め、その効果が表れている兆しがないか経済指標を注視しつつ、政策を徐々に調整していくことが多い。現在の経済状況では利上げを悠長に行う余裕はない、とFRBは判断している。米国のインフレ率は急上昇し、数十年ぶりの水準に達した。FRBは急ブレーキをかけることを選んだ。このように段階的なアプローチから距離を置くことで、FRBの利上げが行き過ぎたものとなり、インフレ抑制のために必要とされる以上の深刻な景気後退(リセッション)を招くリスクは高まる。