「いい会社」はどこにあるのか──? もちろん「万人にとっていい会社」など存在しない。だからこそ、本当にいい会社に出合うために必要なのは「自分なりの座標軸」である。そんな職場選びに悩む人のための決定版ガイド『「いい会社」はどこにある?』がついに発売された。20年以上にわたり「働く日本の生活者」の“生の声”を取材し、公開情報には出てこない「企業のほんとうの姿」を伝えてきた独立系ニュースサイトMyNewsJapan編集長・渡邉正裕氏の集大成とも言うべき一冊だ。同書のなかから厳選した本文を抜粋・再編集してお送りする。

【朝日と日経、どっち?】「給料がいい会社」を見極めるための「2軸」とはPhoto: Adobe Stock

「いい会社」はその人の価値観やフェーズで変わる

 賃金のカーブと分布は、その人の人生観と未来の見通し次第で、「いい会社」も変わってくる。安定第一で考えるなら公務員(PayLater型)でよいし、自分の才能に自信があってバリバリ20代からのし上がりたい人なら「PayNow型」のコンサル会社などを選ぶべきだろう。

 人口減や高齢化、脱炭素・デジタルの流れのなかで、経済の不確実性が20年前よりも上がっているのはたしかなので、PayLater型の民間企業を選ぶ際には、その会社が30年後に生き残っているかについて、自分なりの見通しを持つ必要はある。後からもらえると暗黙の了解で思っていたら、業績が悪化して、踏み倒されることがありうるからだ。

 たとえば朝日新聞社は、筆者の就活時(90年代)は、日経と朝日の両方から内定を得た3人が朝日に流れるほどだったが(その逆は同期ではいなかった)、部数が予想どおり激減し、額面年収は同じ年齢で200万円近くも下がり、電子版がそこそこうまくいった日経のほうが生き残り組になった(朝日1134万円、日経1220万円※)。

 朝日は50代の賃金が圧倒的に高いのであるが、これを下げられてしまうと、やってられない。ネットメディア系への転職組が目立つようになった。

※これは見通しどおりで、だから筆者は朝日の入社試験を受けてすらいない。朝日は2022年3月期、日経は2021年12月期。