35歳までに3割の社員が
GAFAなどに引き抜かれるNTT
転職が当たり前の時代になったので、転職を前提にしたプランニングも必要である。たとえば、NTTについて「35歳になるまでに3割がGAFAなどに引き抜かれてしまう」というNTT持ち株会社の澤田純社長の発言が話題になったが、これは、博士卒でも初任給が月収27万円(年収400万円程度)で、30歳で約600万円、65歳までかけて回収するPayLater型の年功序列賃金だから、PayNow型で初年度から1000万円超を払うGAFAと、差が大きすぎるのである。
そうなると、まずはGAFAなど「今払い&バラツキが大きい」企業に入ってグローバル基準で自分を鍛え、いけるところまでいって限界に来たら、NTTグループに転職して、ワーク・ライフ・バランスを保ちつつ雇用保障を得て余生を過ごす、といったキャリア戦略も有効になる。いいとこ取り、だ。
アクセンチュアはさきほどの図の左下企業の代表格である。「しんどいので無理と言って辞めて、公務員を目指す、という人はいました。あと、中堅以上になると、お客さんと仲良くなって引き抜かれるケースや、フリーのコンサルになってアクセンのプロジェクトに参画するケースもある。ほかに、SEとして、雇用安定度の高いNTTデータなどに移籍する人がいます」(若手社員)
NECは、DX専門人材を継続的に増員しており、「2023年までに2000人増やす」という計画を2020年に公表した。NTTやNECは〝ユルキャラ企業〟なので、給与水準が上がり始める30代後半から中途で潜り込み、まったりと終身雇用を享受する──というキャリアプランは、最も合理的と言える。
いきなりGAFAに入社するハードルは高いので、まずは丁寧に基礎から育成する環境があるNTTの研究開発部門に入って箔をつけてGAFAに転職し、まだいけると思ったらサイバーエージェントなどITベンチャー系で一旗揚げ、もう潮時かな、と思ったらNECやNTTグループへ──というのもアリだろう。ただし、中途採用は景気次第で、つねに募集があるとは限らない。
(本記事は『「いい会社」はどこにある?──自分だけの「最高の職場」が見つかる9つの視点』の本文を抜粋して、再編集を加えたものです)