「いい会社」はどこにあるのか──? もちろん「万人にとっていい会社」など存在しない。だからこそ、本当にいい会社に出合うために必要なのは「自分なりの座標軸」である。そんな職場選びに悩む人のための決定版ガイド『「いい会社」はどこにある?』がついに発売された。20年以上にわたり「働く日本の生活者」の“生の声”を取材し、公開情報には出てこない「企業のほんとうの姿」を伝えてきた独立系ニュースサイトMyNewsJapan編集長・渡邉正裕氏の集大成とも言うべき一冊だ。同書のなかから厳選した本文を抜粋・再編集してお送りする。
楽天やCAのような大企業が
「平均年齢34.4歳」を保てる理由
前回までは「平均年齢が高い企業」を中心に、そこで起きているさまざまな「歪み」をご紹介してきた。
※参考記事
・【10年後にはシニア社員だらけ…】「老化する日本企業」のヤバすぎる実態
・【電通、SB、NHK…】「仕事してるフリ」元管理職を量産する“役職定年制”のリアル
・なぜ三菱地所の50代は全員「年収2300万の部長以上」になれるのか
一方で、キーエンス35.6歳、DeNA35.4歳、楽天34.4歳、サイバーエージェント33.2歳、ZOZO32.7歳、ベイカレント・コンサルティング32.6歳。これらの企業は、古い大企業と比べると、8~10歳も平均年齢が若い。
楽天元社員によると、「楽天市場の事業部は、新卒からの生え抜き社員ばかりなのですが、普段の仕事で関わる人は、上が7~8年目くらい(30歳前後)。30代の中途入社組は『かなり上の人たち』というイメージになり、数十人いる部のなかで中途は1~2人だけです。だから、圧倒的に『生え抜き20代中心の組織』で、若い職場です」
同社は20代後半で管理職クラスのグループ長(支社長の1つ下)として20~30人を統括する人も普通にいて、若い人が活躍しやすいのはたしかだ。これは楽天グループ全体が成長中で、いわば昭和の高度成長期の日本企業のように、組織が成長し、ポストが増え、年間で1748人(2019年12月期)も採用しているから。うち400~500人が新卒組、つまり20代である。
サイバーエージェントは新卒中心で独特な社風を築いてきた。中途で入った社風に合わない社員については、「仕事のパフォーマンスだけでなく、価値観、文化の合わない人が対象」となる「ミスマッチ制度」で、下位5%のD評価を2回とると部署異動か退職勧奨という、中途社員に厳しい制度が設けられたことまである。新卒から7年在籍した元社員は、「30歳と24歳なら、若い方にチャンスを与える社風です」とそのカルチャーを語る。