日曜朝のアニメといえば『プリキュア』だ。2004年放送の『ふたりはプリキュア』以来、新作が毎年誕生し、子どもたちから絶大な支持を得ている。だが、その制作陣は必ずしも女性ばかりではなく、おなじみの変身ポーズを中年男性が考えることも…。プリキュア初期作品の演出と、シリーズ9作目『スマイルプリキュア!』の監督を担当し、書籍『アニメができるまで』を上梓した大塚隆史監督に、制作の裏話を聞いた。(執筆/フリーライター 堀田孝之、取材協力/アニメ監督 大塚隆史)
女児向けアニメを、どうやって
中年男性が作っているのか!?
毎週日曜日の朝8時30分。2004年から現在までの19年間にわたって、新シリーズが毎年放送され続けているアニメ『プリキュア』(テレビ朝日系列)。たとえ見たことがなくても、その名を知らない人はいないだろう。
プリキュアは、幼児~小学校低学年の女児をメインターゲットにしたアニメだ。作品のジャンルは「戦闘美少女アニメ」「変身ヒロインアニメ」にカテゴライズされることが多い。
それまでの女児向けアニメが「女の子らしい可憐(かれん)さ」を描くのがメインであったのに対し、プリキュアの作風は全く異なっている。
友情や人間関係に悩む少女たちが、アニメ化もされた国民的少年マンガ『ドラゴンボール』並みの肉弾戦を繰り広げ、「大切なもののために、傷だらけになりながら敵と戦う姿」が描かれているのだ。この要素が当時の少女たちの心をつかみ、大ヒットした。
ただし、プリキュアの制作者たちは、決して女性ばかりではない。実はこれまで、中年男性がプロデューサーや監督を担当することが多かったのだ。その面々も、全員が女の子の父親というわけではない。
そうした体制で、どのようにして小さな女の子たちの心に響くアニメを作ることができたのだろうか?