不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、感動小説『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。
ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】他人のことをわかったつもりで“傷つく人”が、まったくわかっていない「究極の真実」

自分以外はみんな他人

この世の中は、自分以外はみんな他人です。こういうと「当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、これは意外と忘れがちで大事なポイントでなんです。

他人の存在や気持ちは、すべて自分自身のフィルターを通してのもの。要するに、他人の考えていることっていうのは、表情や言動から推察しているだけのことで、本当のところはわかりようがない。他人というのは、測り知ることのできない存在なんだということを忘れてはいけないのです。

人は他人とコミュニケーションをとりたがる存在ですから、他人の考えていることを想像しながら信頼関係をつくっていくという側面があります。しかし、本当の心の底っていうのは見えるわけではないし、相手がなにを感じて、なにを思ってるかというのを覗き見ることはできません。

自分が見たいように他人を見ている

このことをちゃんとわきまえておかないと、他人の存在に甘えすぎてしまうんです。人は自分の都合のいいことしか見ないことがあります。自分が見たいように、考えたいように他人の考えを受けとったりするので、相手の気持ちが離れていく原因にもなるんですね。他人の言動を自分の都合のいいように解釈してしまう可能性があるわけです。

自分が他人を勝手に解釈したのに、実際はまったく違っていたことが判明したりすると、傷ついたり裏切られたような気分になったりします。これは、そもそも他人のことは知ることができないという大前提を忘れているから起こることなんです。

他人は自分のことをわかっていない

他人はわからない存在だという大前提があったうえで、コツコツと信頼関係を積み上げていくことが大事なんですね。自分が見たいように他人を見てしまってるかもしれないという観点が抜け落ちてなければ、そこまで傷ついたりすることはないと思います。

どんな人間関係であっても、他人は他人なんです。家族であろうが、恩師だろうが、信頼関係にあっても、本当になにを感じているか、どういう存在かはわからない。そういう謙虚さを自覚して生きることが大事です。逆に考えると、自分が思っていることも、他人にはわからないということも踏まえておくべきですね。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。