市場拡大が続くドラッグストア業界。「ドラッグストア実態調査」(日本チェーンドラッグストア協会)によると、2021年度の全国売上高は対前年度比6.3%増の8兆5408億円、全体店舗数も441店舗増の2万1725店舗に拡大するなど、コロナ禍を経ても好調さを維持している。並行して業界内では再編の動きも活発化し、大手を中心に1社あたり出店数が増加。そのサプライチェーンを支える物流戦略の重要度が増す中、業界では物流拠点の新設計画が相次いで発表されている。(カーゴニュース)
業界1位のウエルシアは
全国に在庫型大規模物流センター構築へ
業界1位のウエルシアホールディングスでは22年8月、業界初となる在庫型大規模物流センターを「ウエルシア西関東RDC」として神奈川県綾瀬市に開設した。「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)東名綾瀬」(延床面積6.1万平米)を全棟借りして、センコーが運用。同所へ、親会社イオングループのPB品を除く全常温商品を在庫し、最新鋭の自動化・省人化機器を用いて出荷する。
西関東RDCには4カ所のTC(Transfer Center、通過型物流センター)拠点を統合し、東京都・神奈川県・山梨県・長野県の4都県に構える約500の店舗への商品発送を担う。TCからDCへ移行したことで、店舗増や物量波動へ対応しやすくなる上、納品リードタイムが短縮でき、欠品対応やBCP対策も強化。ベンダー倉庫がなくなることでトラック輸送回数も削減され、CO2排出抑制にもつながる。
ウエルシアグループでは次期中期経営計画(24年2月期~)で、こうした在庫型物流センター「RDC」を全国へ展開する“RDC構想”を掲げる考えにあり、西関東RDCは、その実験的な基幹拠点の位置づけ。年間100店ペースで店舗数を急拡大する同社にとって「スケールメリットを出すためにはRDCが必要と判断した」と松本忠久社長は説明する。