今回は、2017年6月に経営破綻した大手自動車部品メーカー「タカタ」を取り上げる。エアバッグの世界シェア2位、盤石だったはずの同社は、なぜ倒産に陥ったのか。その理由を探ると、名門創業家が絡んだ落とし穴が見えてくる。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)
世界的自動車部品メーカー
タカタの経営破綻
今回は、大手自動車部品メーカーであるタカタの倒産事例を取り上げる。タカタは2017年6月に民事再生法の適用を申請し、製造業としては戦後最大の大型倒産となった。
タカタは1956年に初代社長である高田武三氏により設立された高田工場を発祥とする、シートベルトやエアバッグ、チャイルドシートといった自動車の安全部品を製造するメーカーである。06年11月には株式を東証一部に上場し、一時はエアバッグ市場で世界2位のシェアを誇っていた。
下の図は、タカタの連結損益計算書(P/L)における売上高、経常利益、売上高経常利益率(=経常利益÷売上高)の推移をまとめたものである。
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これによれば、05年3月期に約4260億4800万円だった売上高はピークの16年3月期には約7180億300万円にまで成長。経常利益の状況も堅調で、15年3月期以降の売上高経常利益率は倒産直前の決算期である17年3月期まで5~6%前後で推移していた。
一般的に、自動車部品メーカーで売上高経常利益率5~6%前後というのは、そこまで悪い数字ではない。
世界的なエアバッグメーカーであり、売上高や経常利益が堅調に推移していたタカタはなぜ経営破綻に至ってしまったのか。決算書のデータから解説していこう。