*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2023」の「親子で学ぶ注目業界完全ガイド」を転載したものです。
就活で欠かせない業界・企業研究。本誌では注目16業界の現状と課題、求められる人材像を分かりやすく解説していく。第5弾は、「進化する就職人気鉄板業界」として、「IT業界」を取り上げる。(ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 副編集長 小尾拓也)
DXブームで
空前の売り手市場に
DX(デジタルトランスフォーメーション)ブームも手伝い、企業ではITが最も重要な経営資源の一つとなった。
ITサービスを提供する企業には、システム受注拡大の追い風が吹く。また、IT企業に頼らず自社でITの運用体制を構築しようと大規模な投資を図る事業会社が、あらゆる業界で増えている。
ちまたではIT人材の争奪戦が起き、人手不足が深刻化。経済産業省によると、2030年に最大で約79万人のIT人材が不足する。
今やITに明るい学生は、どこへ行っても引っ張りだこ。業界に根強くあった「仕事がきつくて給料が安い」というイメージも、人材不足の中で改善されつつある。条件付きではあるが、「実力次第で新入社員でも年収1000万円」とうたうIT企業も出てきた。
SIer(システムインテグレーター)やITコンサルタントで働くなら、さまざまなクライアント企業の案件に携わることができ、知見や人脈が広がる。一方、事業会社のIT担当職には、ITを軸に一つのビジネスに深く関われる醍醐味がある。
今注目の職種は、ITで経営戦略を立案するITストラテジスト、データ解析を経営に役立てるデータサイエンティスト、サーバ運用や情報セキュリティを担うセキュリティエンジニアなどで、キャリア・新卒とも採用が旺盛だ。
文系でも一人前の
IT人材に育ててもらえる
最近では、IT未経験の理系学生や文系学生にも門戸を開き、入社後の研修で一人前のエンジニアに育ててくれるIT企業もある。
リクルートエージェントのIT担当コンサルタント・丹野俊彦氏は、「ITを使って経営課題の解決に貢献するためには、技術だけでなく、経営学などの文系的な知見も必要になるだろう」と予見する。自社や顧客のニーズを的確に見据えてビジネスを創造する新しいIT人材の理想像が見えてくる。