行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はデンソーやブリヂストンなどの「自動車部品/産業車両」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
自動車の生産が回復傾向に
5社中3社が3割超の増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の自動車部品/産業車両業界5社。対象期間は2022年22年5~9月期の四半期(5社の対象期間はいずれも22年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・デンソー
増収率:30.9%(四半期の売上収益1兆6051億円)
・ブリヂストン
増収率:35.1%(四半期の売上収益1兆906億円)
・豊田自動織機
増収率:30.9%(四半期の売上高8429億円)
・住友電気工業
増収率:29.5%(四半期の売上高1兆140億円)
・アイシン
増収率:25.0%(四半期の売上収益1兆1087億円)
自動車部品/産業車両業界の主要5社では、全社が前年同期比で増収となった。半導体不足を背景に自動車メーカーが自動車の減産を行ってきたが、春から夏にかけて生産が回復したほか、円安の影響がプラスに働いたことが寄与している。また5社の中でも、ブリヂストンは35.1%増という大増収だった。3割超の増収率を記録した3社の増収要因は何か。
次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに、直近四半期の業績について詳しく解説する。