今回のカタール大会含め、過去7大会での日本代表の試合成績は7勝6分12敗です。この“6分け”のうち2試合はPK戦で敗れていますが、ここでの分析上は「引き分け」に分類しています(PK戦はトーナメントで上位に進出するチームを決めるための仕組みで、公式記録上は引き分け扱いとなるためです)。

 あくまで論理的な計算にお付き合いください。もし次のW杯で日本が決勝トーナメント、つまりノックアウトステージに進出したとしましょう。この場合、負ければ即敗退ですが、そうでない場合、勝つかPK戦になるわけです。

 そしてこの「そうでない場合(=試合終了時点でベスト8に進出可能な場合)」の確率は、過去の試合成績の「7勝か6分け」と近くなると想定しましょう。単純計算ですが、引き分けになった試合数(6)を、勝った試合と引き分けになった試合の合計数(13)で割って確率を出してみます。すると、46%になります。

 つまり、「日本がベスト8に進出できるかもしれない際、4割以上のケースでPK戦に勝たなければならない」と考えるべきではないでしょうか。これが、最初の洞察です。

 日本の試合成績だけでは「サンプルが少ない」と思うかもしれません。ではW杯の決勝トーナメントのベスト16の試合を確認してみましょう。すると、過去3大会で24試合中PK戦は7試合と、やはり全体では約3割です。ちなみに、この数字については強豪国は勝ちで抜ける確率が高いので、チャレンジャーの立場である日本の場合は4~5割の確率でPK戦になる覚悟をすべきではないでしょうか。

 ここから「日本がベスト8以上になるには、4割以上の確率でPK戦になる」と想定できます。「2026年以降のW杯に向けて、PK戦を日本代表の戦略上の重要なファクターの一つに格上げする必要がある」という戦略コンサルタントの洞察にもつながります。ここまでの話は今の日本の世論に近いので、前提としては受け入れやすいのではないでしょうか。

 次に、ボールを蹴る当事者の立場になって考えてみましょう。