写真はイメージです Photo:PIXTA「懐かしい記憶」は、心のセルフケアに役立つ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

仕事生活でもプライベートでも、ストレスを感じることがあるものです。そうした精神状態を放置していると、モチベーションが低下して仕事面で停滞したり、プライベートな人間関係を悪化させたりしやすくなります。そうならないために大切なのは、日頃からの“心のセルフケア”。今回は、その方法の一つとして、懐かしい記憶と触れ合うことによる効果、そのやり方について解説します。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)

ポジティブな記憶が
気分を前向きにしてくれる

 記憶と気分との間には密接な関係がある。

 心理学では「記憶の気分一致効果」として知られており、その時の気分に沿った記憶が想起されやすいことが分かっている。つまり、ポジティブな気分で過ごしているとポジティブな記憶が引き出されやすく、ネガティブな気分で過ごしているとネガティブな記憶が引き出されやすい。

 一方で、ポジティブな出来事を思い出すとポジティブな気分になるが、ネガティブな出来事を思い出すとネガティブな気分になるという逆方向の関係もある。これは誰もが日常的に経験しているはずだ。楽しい出来事を思い出せば良い気分にひたれるが、嫌な出来事を思い出せば気分は沈みがちになる。

 こうしてみると、仕事でもプライベートでも、順調にこなしていくには良い気分で過ごすことが大事であり、その鍵を握るのがポジティブな記憶であることが分かる。