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何があっても常に前向きに受け止め、力強く苦境を切り拓いていく人がいる。その一方で、そこまで悲惨な目に遭ったわけでもないのに、後ろ向きなことばかり言って、状況を好転させようといった動きが見られない人もいる。そこに「生きづらさ」から解放されるためのヒントがある。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)

後ろ向きな人生を、前向きの人生に切り替えるには……

 他人の人生をうらやみながら、自分の人生のみじめさを嘆く人がいる。

 たとえば、自分が育った家庭では、いつも父と母の間で怒鳴り合うような口論が絶えず、幼い頃から気持ちが落ち着かなかったという人がいる。そんな家庭で育ったせいで、人とうまくやっていける自信がなく、結婚などとてもできる気がしないし、幸せな人生など自分にはまったく縁がないという。不幸な子ども時代を過ごした自分は永遠に幸せになれない……そう思い込んでいるかのような語り口が目立つ。

 しかし、子ども時代に厳しく辛い日々を過ごさざるを得なかった人は全員、その後不幸な人生を送っているだろうか。

 偉人伝などを見ても、子ども時代に大変な目に遭い、苦労をした人が偉業を成し遂げたケースがいかに多いかが分かるはずだ。偉業を成し遂げるような特別なケースまでいかなくても、不幸な生い立ちを乗り越えた人はいくらでもいる。むしろ、逆境を糧(かて)にして、充実した人生を前向きに生きている人がたくさんいる。

 そこで大切なのが、発想の転換だ。