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過去に縛られて、後ろ向きの人生から抜け出せない……そういう人には、過去の記憶を書き換えることをおすすめします。「記憶の書き換えなんてできるわけがない」そう思うかもしれませんが、心理学的手法を用いることでそれが可能になるのです。「消してしまいたい過去」を抱える人は、ぜひこの方法を試してみてください。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)

多くの人が「消してしまいたい過去」を抱えている

 思い出は美化される。そんな風に言われることもあるが、良い思い出しかないという人はいないのではないか。だれでも過去を振り返れば、思い出すと気分が沈むようなネガティブな記憶があるものだ。これまでの人生において経験した出来事やそれにまつわる思いから出来上がっている記憶、いわゆる自伝的記憶の中に、良いことばかりが詰まっている人などいないだろう。

 良いこともあれば、悪いこともある。楽しかったこともあれば、悲しかったこともある。うれしかったこともあれば、悔しくて仕方なかったこともあり、腹立たしい思いに駆られたこともある。誇らしいこともあれば、後悔することもある……それが人生というものだ。

 私が実施した調査では、40代から50代の成人で3人に1人、20歳前後の若者では3人のうちの2人が、「消してしまいたい過去」があるという。

 そうしたネガティブな感情を引き起こす記憶をそのまま放置しておくと、過去を振り返るたびに嫌な気分になる。落ち込む。そのため、過去をあまり振り返らないようになる。その結果、過去を懐かしむことで心のエネルギーを補給するということができない。