行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの「損害保険」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
損害保険3社が2桁増収も減益
黒字確保の1社とは
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の損害保険業界の3社。対象期間は2022年5~9月期の四半期(3社の対象期間はいずれも22年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・東京海上ホールディングス
増収率:24.4%(四半期の経常収益1兆7789億円)
・SOMPOホールディングス
増収率:16.5%(四半期の経常収益1兆2792億円)
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス
増収率:20.4%(四半期の経常収益1兆5089億円)
損害保険業界の主要3社はいずれも前年同期比で2桁増収という好調が続いている。
しかし、利益面では3社とも前年同期比で大幅な減益となっていて、通期の利益予想も下方修正に追い込まれている。そんな中、3社のうちで1社だけが23年3月期第2四半期累計で黒字を確保できた。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、黒字を確保できた企業や3社の減益の要因を解説する。