行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界6社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
鋼材需要は低迷気味
増収でも減益の企業も
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製鉄/金属製品業界の6社。対象期間は2022年5~9月期の四半期(6社の対象期間はいずれも22年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・日本製鉄
増収率:17.7%(四半期の売上収益1兆9552億円)
・住友金属鉱山
増収率:16.3%(四半期の売上高3530億円)
・ミネベアミツミ
増収率:17.0%(四半期の売上高3300億円)
・日立金属
増収率:27.2%(四半期の売上収益2919億円)
・JFEホールディングス
増収率:24.4%(四半期の売上収益1兆3107億円)
・神戸製鋼
増収率:23.2%(四半期の売上高6269億円)
製鉄/金属製品の主要企業6社はいずれも前年同期比で2桁増収だった。ただ、世界的インフレの影響で顧客の購買力は低下、景気も冷え込む中で、鋼材需要も急速に低下している。「増収減益」となっている企業も多い。
次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに、利益面はどうなっているのかを見ていく。過去最高益を見込む企業もあれば、利益の下方修正に追い込まれた企業もある。製鉄/金属製品業界の明暗をのぞいてみよう。