片づけられない人たちの“最後の欠け込み寺”として有名なカリスマ片づけアドバイザー・石阪京子先生の『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム これが最後の片づけ!』は、在宅ワーク化や災害対策などの備蓄も必要となってさらにモノが増えがちなwithコロナ時代の家の片づけ方を書いた話題の書。本書のメソッド通りに片づければ最低3日あれば家一軒がまるごと片づいて、リバウンドしません。この連載では、本書の一部を抜粋しながら、石阪メソッドをご紹介します。
片づけると、足かせが外れる
私はよく、「家を片づけて、足かせを外そう」と、生徒さんに言っています。
バックヤードを全出しすると、100人中100人が、ぐったりして、「えらいことをしてしまった」とパニックになって、時には泣き出す人もいます。
でも、「こんなにあったんやね。これだけ、足かせがあったんだからこれが少なくなったら、すごく軽になるよ」と声をかけて、作業を進めていきます。
実際、モノが少なくなると、本当に身軽になります。
例えば、料理をしようと思っても、流しに洗い物が残っていて、シンクにモノがたくさんのっていて、しかも水でべちゃべちゃだったりすると、やる気が出ませんよね。だけど、流しに洗い物がなく、シンクもすっきり片づいていて、ピカピカ光っていると、「おいしいご飯でも作ろうかな」と、行動に移しやすいのではないでしょうか。
家が片づくと、これと同じようなことがたくさん起こります。
よくあるのは、お金にまつわることです。お得な情報をキャッチすると、それにパッと乗れるようになります。
家が片づいていない時も、なんとなく自分は損をしている気はしているんですよね。でも、時間がないから、ケータイ代や保険料金、住宅ローンなどをなかなか見直せません。
例えば、私自身は、auからソフトバンクへ乗り換えた時に、家族全員で38万円が返ってきました。今は法律が変わってできなくなりましたが、当時はキャッシュバックキャンペーンというものがあり、ケータイ屋さんにポスターが貼ってあったんですね。それを見てすぐに、必要書類を持ってお店へ行きました。
住宅ローンも、20年くらい前に家を買った方は、借り換えると金利が安くなることが多いです。多分、そのことは皆さん耳にされていると思うのですが、そこで動けるかどうかが、フットワークの軽さ。足かせがあるか、ないかの違いです。
「ちょっと調べてみよう」と思って、書類をパッと出して見られるか。それとも、「書類どこいったかな。探すの面倒だから、まぁいいか」となるか。
それが、人生を大きく左右していくと思います。
その疲れ、片づいてないせいでは?
家の中がモノであふれていると、なんとなくぐったりしてきますよね。
空気がよどんでいる、動きにくいなど要因は色々ありますが、その中の一つに、「脳に負担がかかっている」ということがあると思います。
脳は、視覚から入る情報を処理しています。そのため「家が散らかっている=モノがたくさん目に入る=処理する情報が多い」ということになり、脳が疲れてしまうのです。
なので、散らかった空間にいる時、人は自然と視覚を狭めて、脳に入る情報を減らそうとします。目の前のモノだけを見るようにする、ということです。
例えば、食事をする時。ダイニングテーブルにモノが散乱していると、普通はそれらが気になって落ち着かないと思います。
ところがその状態に慣れている人は、気にならないように目の前のお皿だけを見て、モノの山は見ずにご飯を食べるそうです。視界をわざと「寄り」にしているんですね。
けれども、この「見たくないモノを見ないですむように、寄りでとらえる」ということが習慣化すると、ふだんの生活や仕事にも影響が出てくるのではないでしょうか。
視野が狭くなることで、問題の本質をとらえにくくなりますし、目の前にあることにしか反応できなくなってしまうことでしょう。
実際、片づけ合宿前に、生徒さんに部屋の写真を撮って送ってもらうと、寄りの写真ばかりが届くというのは本にも書いた通りです。片づかないという問題を解決するためには、家全体を俯瞰でとらえることが非常に大切です。
仕事や人生のトラブルも同じです。思考を「寄り」にしては、問題の根幹が見えてきません。一歩二歩下がって見てみることで初めて、解決の糸口が見つかります。
片づけをやり遂げると、狭まっていた視野が解放されます。物事を俯瞰でとらえる習慣が身に付き、問題解決能力も上がります。そして最後は、部屋の写真も、引いたアングルの美しいものが届くようになります。本当に、劇的に変化するのでおもしろいですよ。
*本記事は、「一回やれば、一生散らからない『3日片づけ』プログラム これが最後の片づけ!」から抜粋・編集したものです。また、金融機関や保険会社などの書類など「紙」に特化した片づけ方は、「人生が変わる紙片づけ!」でもさらに詳しく解説しております。