日本の貧しさを指摘しすぎると貧困化に拍車?
昨年(2021年)の今ごろ、経済ニュースの世界では「安いニッポン」が流行していたが、これからは「貧しいニッポン」の時代がやってきそうだ。
年の瀬に、景気の悪い話をして恐縮だが、日本の貧困化に警鐘を鳴らすようなニュースが、目に見えて増えてきている。筆者が目についただけでも、ざっとこんな感じだ。
・iPhoneが高すぎて買えない日本、30年でなぜこれほど貧しくなったのか? (ニューズウィーク日本版12月10日)
・働いても働いても貧乏から抜け出せない…経済大国ニッポンが「一億総貧国」に転落した根本原因(プレジデントオンライン 12月8日)
また、このダイヤモンド・オンラインでも現在、『貧国ニッポン 「弱い円」の呪縛』という特集をやっている。多くのメディアや専門家の間で、「貧しいニッポン」という問題がのっぴきならない状況だというのが、いよいよ共通認識になってきたということなのだろう。
筆者もこの連載内で、18年ごろから日本の低賃金と貧困化について、度々指摘させていただいてきた。そういう意味では、このテーマが多くのメディアで取り上げられるようになって、議論が活発になってきていることは、素直にうれしい。
しかし、その反面で一抹の不安がある。「貧しいニッポン」報道が注目されることはいいのだが、そのことで逆に日本の貧困化に拍車がかかってしまう恐れもあるからだ。