生理痛がつらい方のための、「仙腸関節の開閉力」を高める対処法
――ズレはどのように解消できますか?
矢上:寛骨と仙骨をつなぐ骨盤の関節「仙腸関節」まわりの筋肉「梨状筋」「大臀筋」をほぐすことがポイントです。特に婦人科系の不調が出やすい方は、座りっぱなしや猫背など悪い姿勢の影響で、「梨状筋」が硬く縮こまっている傾向です。この「梨状筋」をほぐせば、「仙腸関節」まわりの筋肉は緊張から解放され、ズレを取り除きやすくなるんです。
――矢上さんの著書『すごい自力整体』には、「梨状筋ほぐし」のワークもいくつか紹介されています。
矢上:そうですね。ぜひ参考にされてください。他にも、とくに女性にとって重要なのは、「仙腸関節の開閉力」を正常にすることです。
――「仙腸関節の開閉力」とは何でしょうか?
矢上:正常な「仙腸関節」は、28日周期で排卵日から生理に向かって開き、生理が終わると次の排卵日に向かって閉じていきます。骨盤が硬くゆがんでいると、この仙腸関節の開閉が鈍くなり、婦人科系の不調が出やすいのです。とくに生理痛がひどい方は、経血を押し出す子宮の収縮に影響し、腰痛や下腹部痛が起こりやすくなります。
骨盤まわりの筋肉が柔かくなれば、「仙腸関節の開閉力」は正常になります。
生理痛やPMSがラクになるのはもちろん、妊娠や出産する力も高まります。
――とくに生理痛がつらい方へ、「仙腸関節の開閉力」を高める対処法はありますか?
矢上:「梨状筋」をほぐすとラクになりますよ。「梨状筋」に硬くコリがあると、さらに「仙腸関節の開閉力」が弱くなるんです。
――ところで、「仙腸関節の開閉力」は、出産にも影響しますか?
矢上:そうですね、出産を控えている方は、とくに骨盤が左右非対称にゆがんでいると、難産になりやすいかもしれません。準備として、骨盤まわりを柔らかくほぐし、正常に整えておくことが大切です。
現在「自力整体」の指導者として活躍されている女性は、一人目の出産時、36時間以上もかかる難産でたいへん苦しまれたそうです。その後「自力整体」を学び、骨盤調整を習慣にされた結果、二人目は約2時間の安産でした。
他にも、ある40代の女性の生徒さんは、出産から8年間も、毎晩のように股関節痛に悩まされていました。痛みの原因ははっきりわかりませんが、出産前、骨盤にズレが生じていたのかもしれません。現在は、「自力整体」を習慣にされ、股関節の痛みは解消されておられます。
このように、「仙腸関節」にズレがある状態での出産は、難産や後遺症の可能性が高くなりますので、自覚症状のある方は早めの骨盤矯正が肝心です。
――いっきに骨盤を調整する「自力整体」はありますか?
矢上:そうですね、一つのワークだけをおこなうというよりも、『すごい自力整体』で紹介している「20分間ショートレッスン」などで、しっかり骨盤まわり全体をゆるめて調整していく方法がベストです。20分間はすこし長いな、と感じても、その後の体はいっきにゆるんでほぐれますので、オススメです。
「自力整体」は、さらに更年期、老年期など女性のすべてのステージの中で起こりやすい不調を回避しやすいので、ぜひ生活の一部にされてみてください。
【次回に続く】
『すごい自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています。(★一部動画でもご視聴いただけます)