生理痛、月経前症候群(PMS)、不妊、難産、出産後や更年期の不調。『すごい自力整体』の著者・矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語る。「自力整体」とは、人の手を借りずに、「整体施術のプロの技法」を自分におこなえるメソッド。
体のゆがみを正しい位置へ戻し、筋肉や関節のコリをリリースして、不調を根本から取り除くワークだ。現在、若い世代から高齢の方まで約1万5000人が実践している。東洋医学をベースにしながら効率的に問題解決するのも人気の秘訣。なぜ「自力整体」はいいのか?(構成/依田則子 撮影/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
「硬い骨盤」は不調のはじまり
――矢上さんは現在、女性の体の悩みを「自力整体」で解決する活動もおこなっていらっしゃいますね。
矢上真理恵(以下、矢上):そうですね。女性の一生は初潮からはじまり、生理、妊娠、出産、子育て、更年期、老年期まで、それぞれのステージで、さまざまな不調が訪れます。そのためにも、「知っていると役に立つ」のが、「自力整体」なんです。
――まさに先日「知っていると役に立つ」を実感したところです。右肩が痛くなり、『すごい自力整体』の20分間ショートレッスンをおこなったら痛みが気にならなくなりました。
矢上:それはよかったです。「自力整体」の良さは、不快症状が出たら、すぐに自分の力で解消できるところなんです。治療院やマッサージに通う時間がない方にも「自力整体」はおすすめです。
――ところで、女性の予防医学にも力を入れていらっしゃる理由を教えてください。
矢上:とくに女性のみなさんには、「自力整体」で骨盤まわりをほぐす必要性をお伝えしたいと思っています。なぜなら、カチカチに硬い骨盤まわりは、ゆがみや血行不良の原因になり、放っておけば、つらい生理痛、不妊、難産、更年期の不調のほか、子宮に関する病にもつながる可能性があるからです。
―長時間のデスクワークで座りっぱなしの時など、とくに骨盤まわりがカチカチに硬くなっているように感じます。
矢上:座りっぱなしは血行不良になるので、30分に一度は立ち上がり腰をユラユラ動かすなど意識するだけでも違いますよ。「硬い骨盤まわり」は不調のはじまりです。骨盤は人体のベースですから、骨盤まわりをほぐして「ゆがみを」整えれば、体全体の血行も良くなりラクになります。
――そもそも「骨盤のゆがみ」とは、どんな状態でしょうか?
矢上:骨盤の大きな関節「仙腸関節」にズレが生じ、ゆがんだ状態です。「仙腸関節」は仙骨と腸骨の間の関節です。
――「骨盤が正しい位置にある」という状態は、おもに「仙腸関節」にズレのない状態ということですね。
矢上:そうですね。このズレを解消できれば、つらい生理痛などもラクになると思います。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。 写真/榊智朗
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。