写真:ロシア軍の猛攻を受けたウクライナのアントノフ国際空港ロシア軍による侵攻当初に猛攻を受け、廃墟と化したウクライナの都市ホストメリのアントノフ国際空港(2022年12月23日撮影) Photo:Global Images Ukraine/gettyimages

 「新聞の社説を読むほど暇ではない」。そう断じるのはもったいない。「保守的な読売新聞・産経新聞」「リベラルの朝日新聞・毎日新聞」「経済人に愛される日本経済新聞」とバラエティーに富んだ各社の新聞社説は、読み比べることで、ニュースへの複合的視点を与えてくれる。私たちに一番役に立つ社説はどこの社のものか。徹底的に解読する。(イトモス研究所所長 小倉健一)

日経・読売・朝日・産経・毎日
元日の社説を読み比べると…

「今年こそ、良い年にしたい」

 日本経済新聞の元日の社説は、2年連続で同じ文言から始まるというユニークな書き出しだ。昨年は、新型コロナウイルスの猛威が衰えを見せない中で、「経済もコロナ禍前の水準には戻らず、いまだに非常時のもとで生活していると感じている人」に寄り添うような形であった。

 今年の書き出しは、以下の通りだった。

「今年こそ良い年にしたい。そんな思いで多くの人が新たな年を迎えたことだろう。ちょうど1年前の2022年元日付の社説はこんな書き出しで始まった。そうした願いもむなしく、22年は混迷の1年として歴史に刻まれることになるだろう」

 そして、ロシアによるウクライナ侵攻によってもたらされた、エネルギー価格の高騰で、40年ぶりのインフレを嘆いていた。

 2023年1月1日、日経新聞のみならず、他の新聞各社(読売新聞・朝日新聞・産経新聞・毎日新聞)の社説も、ウクライナ戦争への議論からスタートした。

 いちばん内容が無かった社説から紹介していこう。ワーストは、毎日新聞。『探る’23 危機下の民主主義 再生へ市民の力集めたい』と題する1700文字余りの論稿だ。