「新聞の社説を読むほど暇ではない」。そう断じるのはもったいない。「保守的な読売新聞・産経新聞」「リベラルの朝日新聞・毎日新聞」「経済人に愛される日本経済新聞」とバラエティーに富んだ各社の新聞社説は、読み比べることで、ニュースへの複合的視点を与えてくれる。私たちに一番役に立つ社説はどこの社のものか。徹底的に解読する。(イトモス研究所所長 小倉健一)
日経・読売・朝日・産経・毎日
元日の社説を読み比べると…
「今年こそ、良い年にしたい」
日本経済新聞の元日の社説は、2年連続で同じ文言から始まるというユニークな書き出しだ。昨年は、新型コロナウイルスの猛威が衰えを見せない中で、「経済もコロナ禍前の水準には戻らず、いまだに非常時のもとで生活していると感じている人」に寄り添うような形であった。
今年の書き出しは、以下の通りだった。
「今年こそ良い年にしたい。そんな思いで多くの人が新たな年を迎えたことだろう。ちょうど1年前の2022年元日付の社説はこんな書き出しで始まった。そうした願いもむなしく、22年は混迷の1年として歴史に刻まれることになるだろう」
そして、ロシアによるウクライナ侵攻によってもたらされた、エネルギー価格の高騰で、40年ぶりのインフレを嘆いていた。
2023年1月1日、日経新聞のみならず、他の新聞各社(読売新聞・朝日新聞・産経新聞・毎日新聞)の社説も、ウクライナ戦争への議論からスタートした。
いちばん内容が無かった社説から紹介していこう。ワーストは、毎日新聞。『探る’23 危機下の民主主義 再生へ市民の力集めたい』と題する1700文字余りの論稿だ。