子育て世帯に
オススメな理由
教育面において地方と東京圏では「地域格差」「学力格差」という点でネガティブな意見も少なくない。お受験を考えるなら情報の多い都会で、というのは当然だろう。しかし子どもの多様な生き方を尊重するのであれば、決して東京圏だけが正解とは言い切れない。
「進学の選択肢という意味では中央に劣るかもしれませんが、外遊びを多く経験した子どもは社会を生き抜く力が高いというデータもある。それだけ自然豊かな環境で育つことは、子どもにとって計り知れない影響があります。実際、島根の隠岐島前高校は離島全体が学びの場という自然豊かな環境が話題となり、この10年で約3倍以上、生徒数を増やしています」
独立行政法人国立少年教育振興機構の調査によると、子どもの頃の体験と社会を生き抜く能力の関係は、子どもの頃「家族でスポーツしたり自然の中で遊んだこと」や「友だちと外遊びをしたこと」が多かった人は、自己肯定感が高い傾向にあったという。
なかでも自然の中での虫捕りや木登り、集団で鬼ごっこやかくれんぼをして外で遊ぶなど、集団での外遊び経験の多い人はへこたれない力や意欲、コミュニケーション力など社会を生き抜く資質が高いとの相関関係も示された。
「都会で生きる人々が忘れている素朴さのなかの魅力。人間の本質的な幸福感の追及が今後ますます重要になっていくなかで、地方にはそれに応え得る人同士の繋がりや自然環境、文化などが豊富にあります。旅先で目の当たりにするだけではなく、日常に自然を取り入れることで、本当の意味での『自分にとっての豊かな生き方』に気づく人も多いのではないでしょうか」
とはいえ、企業や学校が中央に集中している限り、地方移住を選択できる人はまだまだ限られてしまうのが現実だ。「地方消滅」が叫ばれるなかで、今後政府がどのような具体策を打ち出すのかに期待したい。