子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

勉強でつまづいている時はどうすればいい?

 子どもが小学校に通い始めると、子どものトラブルは勉強や対人関係に関することにシフトしていきます。

 学校では成績をつけられるようになり、どの子も自分の学力がクラスや学年でどの辺りなのか、周囲の子どもとの比較で気づくようになるのです。

 この時、「自分は勉強が得意なんだ!」という自信が持てると、子どもが進んで勉強するようになり、学力がスムーズに定着します。

勉強が得意だ」という意識を持たせてあげることが、勉強ができる子にするための最大の秘訣です。

 特に小学校低学年であれば、学習量が少なく、難易度も高くありません。親が集中的にサポートをすれば、子どもは「勉強ができる!」という自信を短期間で取り戻すことができます。

 夏休みや冬休みを利用して集中学習に取り組ませ、自信を取り戻させましょう。

 また、小学校低学年の時には「プラス暗示」が効果的です。

「お前は大器晩成だよ」「お前は遅咲きだよ」「あなたは将来大物になるよ」「お前は将来すごい人になるよ」「世界で活躍できる人になるよ」……そんなプラス暗示を伝えていると、子どもは本当に「ボク(私)はすごいんだ!」と思い込みます。

 そして何かのきっかけで成功体験をした時「ああ、お母さん(お父さん)の言っていたことは本当だったんだ! ボク(私)は大器晩成なんだ!」と実感するのです。

 すると、本人は努力を継続するようになりますから、本当に成功への道を歩み始めるのです。

 勉強ができる子は「自分はできる」という自信があるので、投げ出さずに継続できます。コツコツと継続すれば、誰だって一定以上の高い学力を身につけることができます。

 結局、勉強ができる子とできない子の差は「継続するか・しないか」だけなのです。

小学校高学年からは得意分野を伸ばしてあげる

 ただし、小学校高学年になると、学習量も増え、難易度が高くなっていくので取り戻しづらくなっていきます。

 小学4年生が一つの境界線で、学習内容が具体的思考から抽象的思考へとシフトしていく時期であり、学力差が大きくなる時期です。

 小学校高学年の子どもが勉強で苦労している場合、得意科目、比較的成績が良い科目を集中学習させて自信を大きくすることに取り組んでください。

 体育が得意な子であれば、スポーツ教室やサッカー教室に通わせて、もっと体育が得意にしてあげましょう。

 得意分野での成功体験を積み重ねて「自分はできる」という自信が大きくなれば、勉強にも粘り強く取り組めるようになります。

 美術が得意だけど算数が苦手! という子であれば、美術教室に入れたり、美術の個人レッスンを受けさせたりします。

 算数が苦手だからと算数の家庭教師をつけるよりも、得意分野を伸ばしてあげるほうが子どもの自信は早く回復します。

 苦手分野を放っておいてはいけませんが、サポートを与える「優先順位」に気を配ってください。

 子どもが苦手なことに取り組むには「自分はできる」という「自信」が育っていることが必要なのです。