子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
赤ちゃんを放っておくのは絶対NG
生まれてきた赤ちゃんが最初にコミュニケーションを学ぶのは親です。
親との関係が「人と関わる力」を左右すると言っても過言ではありません。
親が豊かに言葉をかけ、歌いかけ、遊んであげると、赤ちゃんは人と関わることは嬉しい、楽しい、という経験を積むことができます。
この楽しい経験がコミュニケーション力の土台になります。
赤ちゃんが声を発した時、何かをほしがるしぐさをした時、親は敏感に反応してあげてください。
赤ちゃんが出す「人と関わりたいサインを親は見逃さないこと」が大切です。
赤ちゃんが両手を上に伸ばしたら「起きたいのね」と赤ちゃんの言葉を親が代弁しながら、抱きかかえてあげます。
「アーアー」と赤ちゃんが訴えている時は「お腹がへったのかな?」と声をかけておっぱいを飲ませてあげます。
言葉、表情、動作を使ったコミュニケーションを多くすると、赤ちゃんの人と関わる力を大きく育てることができます。
「かいぐり かいぐり とっとのめ おつーむてんてん」「ぐーちょきぱーで ぐーちょきぱーで 何つくろう」「あがりめ さがりめ」「いない いない バー」など、遊び歌で遊んであげましょう。
母親との関わりに快感や楽しさが多いほど、子どもは他者との関わりを積極的に求めるようになります。
2歳からは「ごっこ遊び」にたっぷり付き合う
子どもが2-3歳になって言葉を通してコミュニケーションがとれるようになったら、親子の遊びをレベルアップさせていきます。
子どものコミュニケーション力を育てる効果的な遊びが「ごっご遊び」です。
おままごとやヒーローごっこなど、子どもが大好きな「ごっこ遊び」は相手の立場になって考えたり、人と関わる基本スキルを伸ばしてくれます。
ノーベル賞受賞者やマッカーサー財団の「天才賞(Genius Award)」受賞者を調査した結果、幼児期に「ごっこ遊び」をたくさんしていた人が多いことがわかっています。
女の子であれば、赤ちゃんの人形やぬいぐるみを使って遊ぶ子育てごっこ、お母さんのマネをして料理をつくる料理ごっこ、保育園の先生役になって教える先生ごっこ、お店のレジの人になるお店屋さんごっこなどが大好きです。
男の子の場合は、ヒーローの人形を使ったヒーローごっこ、運転手さんごっこ、大工さんごっこ、消防士さんごっこなど、職人系のごっこ遊びを好みます。
たとえばお店屋さんごっこをする場合、テーブルにお菓子や果物を並べます。「いらっしゃいませー」と子どもが言ったら、親は「すみません。お菓子はありますか?」と質問します。
「はい、どれにしますか?」と聞かれたら、「身体に良いお菓子はありますか?」というように、思考をちょっと刺激する質問をしてみてください。
子どもと「ごっこ遊び」をすると、親は同じ役を何度も繰り返し要求されて疲れますが、根気強く付き合ってあげてください。
子どものコミュニケーション力を伸ばすことはもちろん、言語力、思考力も発達させることができます。