子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

【0歳から3歳までの育て方】<br />「コミュニケーション力」がある子に育つ“親の2つの習慣”Photo: Adobe Stock

赤ちゃんを放っておくのは絶対NG

 生まれてきた赤ちゃんが最初にコミュニケーションを学ぶのは親です。

 親との関係が「人と関わる力」を左右すると言っても過言ではありません。

 親が豊かに言葉をかけ、歌いかけ、遊んであげると、赤ちゃんは人と関わることは嬉しい、楽しい、という経験を積むことができます。

 この楽しい経験がコミュニケーション力の土台になります。

 赤ちゃんが声を発した時、何かをほしがるしぐさをした時、親は敏感に反応してあげてください。

 赤ちゃんが出す「人と関わりたいサインを親は見逃さないこと」が大切です。

 赤ちゃんが両手を上に伸ばしたら「起きたいのね」と赤ちゃんの言葉を親が代弁しながら、抱きかかえてあげます。

「アーアー」と赤ちゃんが訴えている時は「お腹がへったのかな?」と声をかけておっぱいを飲ませてあげます。

 言葉、表情、動作を使ったコミュニケーションを多くすると、赤ちゃんの人と関わる力を大きく育てることができます。

「かいぐり かいぐり とっとのめ おつーむてんてん」「ぐーちょきぱーで ぐーちょきぱーで 何つくろう」「あがりめ さがりめ」「いない いない バー」など、遊び歌で遊んであげましょう。

 母親との関わりに快感や楽しさが多いほど、子どもは他者との関わりを積極的に求めるようになります。

2歳からは「ごっこ遊び」にたっぷり付き合う

 子どもが2-3歳になって言葉を通してコミュニケーションがとれるようになったら、親子の遊びをレベルアップさせていきます。

 子どものコミュニケーション力を育てる効果的な遊びが「ごっご遊び」です。

 おままごとやヒーローごっこなど、子どもが大好きな「ごっこ遊び」は相手の立場になって考えたり、人と関わる基本スキルを伸ばしてくれます。

 ノーベル賞受賞者やマッカーサー財団の「天才賞(Genius Award)」受賞者を調査した結果、幼児期に「ごっこ遊び」をたくさんしていた人が多いことがわかっています。

 女の子であれば、赤ちゃんの人形やぬいぐるみを使って遊ぶ子育てごっこ、お母さんのマネをして料理をつくる料理ごっこ、保育園の先生役になって教える先生ごっこ、お店のレジの人になるお店屋さんごっこなどが大好きです。

 男の子の場合は、ヒーローの人形を使ったヒーローごっこ、運転手さんごっこ、大工さんごっこ、消防士さんごっこなど、職人系のごっこ遊びを好みます。

 たとえばお店屋さんごっこをする場合、テーブルにお菓子や果物を並べます。「いらっしゃいませー」と子どもが言ったら、親は「すみません。お菓子はありますか?」と質問します。

「はい、どれにしますか?」と聞かれたら、「身体に良いお菓子はありますか?」というように、思考をちょっと刺激する質問をしてみてください。

 子どもと「ごっこ遊び」をすると、親は同じ役を何度も繰り返し要求されて疲れますが、根気強く付き合ってあげてください。

 子どものコミュニケーション力を伸ばすことはもちろん、言語力、思考力も発達させることができます。