「YUMING MUSEUM」という展覧会が東京・六本木ヒルズの東京シティビュー(屋内展望台)で開催されている(会期は2月26日まで)。会場はビルの52階、海抜250mの高さで回廊の大きな窓からは関東平野を一望できる。デビュー50周年のユーミンこと松任谷由実のポップな音楽を探索するには絶好の機会であり、ユーミンの知的生産活動を丸ごと展示した画期的なイベントだった(文中敬称略、前後編の前編)。(コラムニスト 坪井賢一)
ユーミン本人が多様な展示物を解説する
音声ガイドで観覧開始
筆者が観覧に行った日は寒冷前線が東へ抜けた直後だったので、冬の青空に富士山やその手前の関東山地の稜線がくっきり浮かび、東京の高層ビル群の間を西から東へ雲海が流れていた。都心で雲海を見たのは初めてだ。東京・八王子市出身のユーミンこと松任谷由実のポップな音楽を探索するには絶好の一日だった。
会場に着くとまず、受付で予約券を入場券に替えるのだが、その際、正方形(15cm×15cm)のポストカードを受け取る。ユーミンのシングル盤の曲を題材にしたイラストのカードだが、曲を選ぶことはできず、ランダムに配布されていた。筆者が受け取ったカードは、「翳りゆく部屋」だった。
ユーミンのデビュー時に関係の深い曲が、この「翳りゆく部屋」である。筆者も後から知った驚きの発見の数々は、本稿の後編で記していく。