米金融大手ゴールドマン・サックスについて言えば、最初のステップは正しい問題を特定することだ。ゴールドマンを巡る最近の話題は個人向け金融・融資業務への進出が中心だ。新設されたプラットフォーム・ソリューションズ部門は2020年以降、数十億ドルの税引き前損失を計上している。だが実際、自己資本利益率(ROE)などの財務指標でみると、個人向け事業はゴールドマン全体の業績にとって大きな要因にはなっていない。同部門の規模は比較的小さく、2022年10-12月(第4四半期)時点では、再編された三つの事業部門に割り当てられた自己資本の4%未満しか費消していない。ゴールドマンの資産運用ビジネスはまだ発展途上であり、個人向け事業より大きな障害となっている。多くの資本を費消するオンバランスシート投資から、資本の費消がはるかに少なく、安定した収益が得られる管理報酬や手数料ビジネスへの転換を目指している。第4四半期には、アセット・アンド・ウェルスマネジメント部門は3事業部門に割り当てられた自己資本の約3分の1を占めているが、そのROEは若干マイナスとなった。厳しい市場環境を反映して、株式および債券投資の収益は前年同期比で大幅に減少した。
ゴールドマンの問題、正しく見極めるのが肝心
資産運用ビジネスはまだ発展途上
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