「日本の女がちゃぶ台バーン」を
無視する政治家たち
冒頭で示したように、子育て世代が理想の子どもの数を持てない最たる要因は経済的な不安である。しかし、このことから目を逸らし続け、若者のワガママ、あるいは女性のワガママかのように思っている節が自民党政治家の失言からはうかがえる。
2022年7月の「男の人は結婚したがっているんですけど、女の人は、無理して結婚しなくていいという人が、最近増えちゃっているんですよね。嘆かわしいことですけどもね。女性も、もっともっと、男の人に寛大になっていただけたらありがたいなと思っている」(2022年7月、桜田義孝元五輪相)という失言は、とてもわかりやすく少子化、未婚化の原因を「女性の考え方」に押し付けている。
ツイッター上でたびたび話題になる、漫画家・秋月りすさんの4コマ漫画がある。人気シリーズ『OL進化論』の1作品で、「子供は最低二人産んでねー」「労働力も必要だから仕事も続けてねー」「男より給料安いけどねー」「育児休暇?男は取れないよ」「保育園?家事?自分の才覚でがんばってよ」と言われ、沈黙する女性の後で、少子化のニュースが載る新聞を広げながら「OL」の一人が「日本の女がーちゃぶ台バーン」「それが少子化なのー」と歌っている。
これは2000年代後半に描かれた作品だ。今から10年以上も前から、今の社会で子どもを産むことが女性側にどれだけ負担があることか語られ、一定の共感を得てきている。その点から目を背け続け、子育て世代を「叱咤(しった)激励」すれば少子化が解消するかのような失言だけを繰り返しているのが、自民党の高齢の政治家たちだ。