性的役割意識に縛られている人はいまだに多い。現代的な価値観にアップデートされていると思われがちなZ世代でも一定数が性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)にとらわれているようだ。(フリーライター 鎌田和歌)
男女ともに根強い
「男性は家計を支えるべき」
内閣府男女共同参画局が「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」を11月に発表した。全国47都道府県の20~60代の男女に調査を行い1万906人から回答を得たという。
家庭やコミュニティー領域におけるありがちな思い込み41項目について聞いていて、その結果が面白い。
項目には「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ」「男性であればいい大学を出て出世を目指すべきだ」「組織のリーダーは男性の方が向いている」「女性の上司には抵抗がある」「女性は論理的に考えられない」「男性は人前で泣くべきではない」といったものがある。「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の4段階を選択する設問では、男女ともにトップ3が同じだった。
1. 男性は仕事をして家計を支えるべきだ(男性48.7%・女性44.9%)
2. 女性には女性らしい感性があるものだ(男性45.7%、女性43.1%)
3. 女性は感情的になりやすい(男性35.3%、女性37.0%)
※割合は「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計、以下同
「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」という思い込みは、男女ともに年代が上がるとともに「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答する割合が多くなり、60代では男性の60.7%、女性の52.7%がこう答えている。実に半数以上であり、「一家の大黒柱は男性」という考え方が根強いことがうかがえる。20代ではこの割合は減少するものの、それでも男性の43.9%、女性の36.0%と無視できない割合だ。
近年たびたび話題になる「男性の生きづらさ」について、男性は家計についての責任を負わされやすい性別であることが指摘されるが、これが如実に裏付けられる結果となった。
一方で、気になるのが「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ」と回答した人は、男性が28.4%、女性は21.6%と半数を割った。男性より女性、高齢者より若者が支持する割合が低く、最も割合の低い20代女性は14.5%だった。
共働き夫婦の働き方がマスメディアでも頻繁に取り上げられる中で、男性も家事や育児をして当たり前という意識が強まっているのかもしれない。あるいは、「家庭よりも仕事を選ぶことが“男らしい”」という風潮自体が、過去のものになりつつあるのかもしれない。
しかし、調査を見ていくと、今の風潮とは異なる意外な傾向もわかった。