米バイオ医薬品メーカーのモデルナのような企業は近代史上、ほとんど例を見ない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のピーター・ロフタス記者が著書「The Messenger(ザ・メッセンジャー)」で描いたように、モデルナは2020年初めには見込みの薄い小さなバイオテクノロジー企業だった。メッセンジャーRNA(mRNA)という実験的技術を持ってはいたが、製品の提供には何年もかかると見られていた。そこに新型コロナウイルスが登場し、すべてが変わった。モデルナは世界でも最初期にコロナワクチンを製造した1社となり、コロナ下で中心的なプレーヤーになった。売上高は、2019年にはほぼゼロだったのが、昨年は約190億ドル(約2兆4420億円)にまで跳ね上がった(モデルナは数週間後に通期決算を発表する予定)。