「投資情報」の場合
本当にあなたに役立つか?

 さて、投資家が対処しなければならない「情報」は大きく2種類に分かれる。一つは投資行動(証券の売買など)に直接つながる狭義の「投資情報」であり、もう一つは投資の考え方や方法に関連する「ノウハウ情報」だ。

 まず、投資情報の方から考えてみよう。以下のような情報があった場合、あなたはどう判断するか。

【投資情報の例】
 遠からず来る日本銀行の金融政策転換で長期金利が上昇すると、長期国債の価格が下落して、日銀は実質債務超過の状態に陥る。中央銀行の信用が危機に陥るので、日本円は暴落する。円建ての資産を米ドルなどの外貨に換えるべきだ。

 結論だけを見て、「日本がそんなに悪いはずがない」と憤慨したり、「日本はなんだかダメだろう。やっぱり外貨だ」と証券会社に走ったりするのは賢くない。

 情報の発信者の肩書や経歴を見て、「信用できそうだ」あるいは「怪しい」と判断できたつもりになるのも普通は無意味だ。当該発信者に特別な思い入れがあって「この人に賭けてもいい」と思っているのでもなければ、あなたにとって「判断できない無価値な情報」に一つ余計に触れただけだろう。

 少なくとも、長期金利の上昇が国債の価格下落を意味していること、債務超過ということの意味、中央銀行と政府の関係、金利と為替レートの関係、くらいを理解しているのでないと、この情報の真偽は判断できない。

 身もふたもない言い方かもしれないが、判断できない人がこの情報に触れることは、控え目に言っても「時間の無駄」だ。自分が、情報やその発信者を「評価する立場」にあると思っているなら、少し恥ずかしい「お客さん」だ。