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小さいが極めて「痛い」失敗

 野村ホールディングス(HD)の永井浩二グループCEO(最高経営責任者)は、5月24日に記者会見で、東京証券取引所の市場再編に関する有識者懇談会での議論内容を野村社員が投資家に漏らし、情報管理体制に問題があったとして、自らの減給を含む社内処分を発表した。

 本件に関して、金融庁は近く業務改善命令を出す方針と伝えられており、その場合、野村への業務改善命令は2012年の上場企業の公募増資をめぐるインサイダー問題以来となる。

 問題の経緯は、東証が取引市場の区分改定を検討していたところ、この検討の有識者懇談会に参加していた野村総合研究所の大崎貞和フェローが、特に世間の関心の高い東証1部の上場基準について、野村證券のストラテジスト(投資戦略を分析する仕事だ)に懇談会の内容を伝え、これが同社の社員を通して機関投資家その他外部に漏れたということのようだ。

 本件は、インサイダー取引のように法律に明確な規定のある違法行為ではないので、刑事罰の対象になったり、多額の罰金が発生したりするようなものではなさそうだが(注:筆者の解釈である)、関係する企業には極めてデリケートな内容だ。検討過程で情報が事前に漏れることも、検討に横やりが入ることも避けたかったはずの金融庁は「激怒」したのではないかと推察する。

 永井CEOの自らの大幅な減給(月例報酬の3割を3ヵ月返上)を含む処分と、「じくじたる思い」と反省を述べた記者会見は、監督官庁である金融庁に対して頭を下げたという意味なのだろう。

 後述のように、この情報漏えいは意味的に重大なのだが、法律に罰則規定があるわけではなく、事の大きさを説明することが難しい。そんな本件に、金融庁がどのような「処分」と「説明」をするのかは、第三者的に見てなかなか興味深い。