2023年は「NISAを考える年」とも言ってもいい。昨年末に明らかになった岸田政権肝入りの「NISAの大幅拡充」によって見通しが立ちやすくなったからだ。大幅拡充の具体的な内容と、“NISAをどのように捉えれば良いのか”について解説しよう。(経済コラムニスト 大江英樹)
昨年末に税制改正大綱が発表され、岸田政権が提唱する「資産所得倍増プラン」の具体策の一つである「NISAの大幅拡充」についてその内容が明らかになった。これについては10月以降から各種報道でその中身が取り沙汰されていたが、実際に発表になった内容はかなり期待を上回る充実ぶりだったと言ってよい。
そもそもNISAとは何か?
ある程度投資をしている人や、投資に詳しい人であればNISAとは何か?などと説明する必要はない。だが、昨年11月時点でNISA口座を開設している人は1703万。20歳以上の人口約1億400万人の中では16%程度にしかすぎないし、口座だけ開設して残高のない人もいるのが現状だ。買付額は28兆円で、これは日本の個人金融資産全体から見ると1.4%にしかならない。
したがって、世の中の大半の人は、まだNISAというものがどういうものかわからない状況とも言える。そこで、最初に簡単に説明しておこう。
NISAというのは愛称で正式な名前は「少額投資非課税制度」と言う。名前の示す通り、少額=年間一定金額=までは投資をした結果利益が生まれても、その利益に対して税金がかからないという制度だ。