写真:経済4誌の予測特集年末には経済誌の「来年の予測」特集が書店に並ぶ

経済メディアによる「来年の経済・マーケット予測」特集の季節が近づいてきた。それを読んで資産運用に役立てようと思っている読者は、いったん冷静になって考え直す方がいい。予測を信じて投資してはいけない「三つの理由」があるからだ。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

年末の風物詩「予測特集号」は
楽しい読み物だが…

 12月が間近に迫ってきた。12月は、多くのメディアにとって来年の予測がテーマとなる季節だ。特に経済系の雑誌メディアでは、「来年の経済とマーケットはどうなるか?」を通常の号で何度も取り上げる。

 さらに、それとは別に「○○○○年総予測/大予測」などと銘打った特集号が発売されることが多い。筆者の聞くところによると、この種の予測特集号は通常の号よりもはるかに発行部数が多く、かつよく売れるのだそうだ。

 せっかくの「よく売れるコンテンツ」に水を差すのは申し訳ないのだが、投資家の皆さんにとっては、この種の特集の、特にマーケット予測には大いに注意が必要だ。正直なところ、筆者もその類いの原稿を書くことがあるので、「天に唾する」感を覚えぬでもないのだが、「予測特集」のマーケット予測を信じて投資しない方がいいことに気付いてほしい。

 なぜだろうか?

 それは、大半の特集の予測記事の流れが、まず経済全体の景気やインフレ率、これらに対する経済政策、さらには業界ごとの事情などを予測した上で、株価や為替レートなど市場の変数を予想するような論理構成になっているからだ。