子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

子どもが親と話をしなくなったら

 自分のこと、学校のこと、友だちのこと、それまで何でも無邪気に話をしてくれた子どもが、10歳頃を境に親と話をしたがらなくなることがあります。

「今日学校で何をした?」「誰と遊んだ?」「宿題はたくさん出た?」と聞いても「普通」「べつに」「わからない」という答えしか返ってこなくなります。

 これはごく普通のことで、子どもの健全な成長プロセスである場合がほとんどです。

 ただし、この時の対処を間違えると、その後、ぎこちない親子関係がずっと続くことがあるので注意してください。

 子どもが一人前の人間として自立してくると、親と話をすることが何となく照れくさい、カッコ悪いと感じるようになります。

 成長とともに「自分は人からどう見られているのか」という自意識が芽生えるからです。

 異性の目を気にしたり、友だち関係に変化があらわれるのもこの時期です。

 同時に自立心も強くなりますので、親から干渉されたくない、自分のプライバシーを守りたいという気持ちが大きくなってきます。その結果、親と話をしなくなるのです。

 親だって人と話をしたい時としたくないタイミングがありますから一緒です。

 ところが多くの親が、子どもを子ども扱いして、「尋問」「質問」「命令」を繰り返してしまうのです。

 もちろん親であれば、子どもが学校でどう過ごしているのか、誰と遊んでいるのか、勉強はうまく行っているのか、心配でもあり、興味津々でもあります。

 でも、そのような親の一方的な気持ちで、子どもに「尋問」を繰り返していると、さらに親子の溝が深まってしまいます。子どものことをしつこく聞き出そうとするのはNGです。

いい親子関係を構築する「雑談」5つのルール

雑談」というのはどうでもいい話です。笑い話、失敗話、ウワサ話、世間話など、気楽な話、とりとめのない話であり、会社の同僚やママ友と接する時にするような会話です。

 相手が他人であれば、「今日何した」「どこ行った」「誰と遊んだ」などとしつこく尋問することはありません。

 また、「靴をそろえなさい」「服を脱ぎっぱなしにしない」「宿題やりなさい」「部屋を片づけなさい」と矢継ぎ早に命令することもありません。

 話さなくなった子どもと「雑談」をするにはルールがあります。

 1)子どもに話させようとせず自分から話題をふる
 2)子どもが話題に乗ってきたら見逃さずに話題を広げる
 3)話をさえぎったり、せかしたり、否定したりせずに最後まで聞く
 4)上から目線で話をしない(バカにしない/説教しない)
 5)話しやすい環境をつくる(車の中や食事中などリラックスした雰囲気で話をふる) 

 ティーンエイジャーになると、人間関係、恋愛、進学、就職などで必ず壁にぶつかり、悩みます。その時にもっとも信頼できる相手が親であれば、これほど素晴らしいことはありません。

 何でも話せる親子関係を構築するというのは、お互いを人間として尊敬し合えているということです。親が子どもにこびへつらうことではありませんので間違えないでください。

 子どもがあまり話をしなくなったら、子どもにかけている言葉が「質問」「尋問」「命令」ばかりになっていないか、自分を見直してみてください。

 そして子どもを一人前扱いして、他人と接する時と同じように敬意を持って丁寧な言葉で接してください。