眼鏡型のウェアラブルデバイス、「スマートグラス」。眼鏡型のモニターを現実の風景に重ねてパソコンの画面を見たり、マイクやカメラ機能が使えたり、通信機能でネットにつないだり……と用途はさまざまだが、「ちょっと未来っぽい」「まだまだこれから」というイメージも強く、実際の業務に取り入れている企業は少ないのでないだろうか。フジテックでは、2022年からエレベーターやエスカレーターの点検などのフィールド業務にスマートグラスを導入している。導入したのは社内の情報システム部門だ。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
エレベーターメンテナンス等の
フィールド業務にスマートグラスを導入
エレベーター/エスカレーターのグローバルメーカー「フジテック」は、2022年5月、技能伝承や生産性向上を目的に、エレベーターのメンテナンスなどを行うフィールド業務で、スマートグラスを導入した。
エレベーターは高性能化が進み、メンテナンス範囲も多岐にわたる。一方で、建設業界では熟練技術者の高齢化が進み、若手の育成は待ったなしの状況だ。そこで、フジテックではスマートグラスを活用し、保守現場の監査にあたる「安全パトロール」を一部リモート化。現場で作業する技術者がスマートグラスを装着し、熟練技術者がビデオ通話を介してオフィスからリアルタイムに指導を行っている。これにより、安全パトロールの頻度を増やすと同時に、若手へのスキルトランスファー(編注:技能や技術を教え、社内で共有・継承すること)にも取り組んでいる。