写真:大阪駅改札,自動改札機Photo:PIXTA

社内外の技術や知見を駆使して新たな価値を創造し、それを社外にも展開する「オープンイノベーション」。鉄道事業ほど食い合わせの悪い業界はないと思っていたが、時代は徐々に変わりつつあるようだ。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

JR西日本の「技術ビジョン」から
始まったオープンイノベーション

 鉄道は経験工学といわれるように、事業者ごと路線ごとに異なる専門的な知見の積み重ねで動いている。そのため基本的には何事も自前主義で、社内においても電気部門、車両部門、施設部門など技術部門の独立性が高く、言い換えればタテ割り傾向が強い。

 ところがJR西日本は近年、メーカー、大学、ベンチャーなど他業種と共同で「技術による価値創造」を進め、その技術を外部の事業者に売り歩いているのだという。鉄道業界におけるオープンイノベーションはどのようにして可能になったのか。JR西日本イノベーション本部オープンイノベーション室担当課長兼技術収益化・知財戦略課長の井上正文氏に話を聞いた。