体の痛みから解放されるには「背骨」を整えよう、プロトレーナーが伝授日常の歩く・走る動作も、体をねじって背骨を回旋(かいせん)させて動くのが効率のいい体の使い方(写真はイメージです) Photo:PIXTA

いくつになっても動ける体、ケガをしない体でいるためには、どうすればいいのでしょうか。プロ野球選手やサッカーW杯日本代表選手、S級S班競輪選手など、プロスポーツ選手のトレーナーとして活躍している木村雅浩さんによると、「体の痛みは、間違った体の使い方・動かし方が原因」といいます。そこで、木村さんが実際にスポーツ選手たちに教えている「本来の体の使い方」や「体を整えるトレーニング」について、『プロスポーツトレーナーが教える 背骨を整えれば体は動く!ラクになる!』の一部を抜粋して紹介します。

故障の多かった駅伝選手のパフォーマンスが変わった理由

 先日、全日本大学駅伝をテレビで観戦していたときのことです。突然、「K」という名前がパーンと目に飛び込んできました。

 Kくんは中学時代から私がトレーニング指導をしていた選手。駅伝の名門大学に進み、1年生のルーキーながら2区を任され、トップでタスキをつないだのです。従来の区間記録を上回る好タイムの大活躍でした。

 初めて出会った頃の彼は、鵞足(がそく)炎、足底筋膜炎、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)炎……など、とにかく故障の多い選手でした。

 原因はたった一つ。ズバリ、背骨。背骨を中心とする間違った体の使い方にあります。「背骨が硬くて、骨盤も股関節もまったく動かない状態で走ってるからケガするんやで!」彼には、繰り返しそう伝えたものです。

「走るのは脚」と思いがちですが、実は全身運動です。「背骨を中心に、骨盤や股関節、胸郭(肋骨)、肩甲骨、肩関節など様々な関節を連動させる」のが本来の体の使い方です。

 そのため、背骨が硬くなって動かなくなると、連動してほかの関節が動かなくなります。その結果、脚だけで走ってしまって下半身に集中して負荷がかかるため、ケガをしやすくなるというわけです。

 事実、Kくんが背骨をねじって動けるようになると、結果的に膝や足首の負担が減って力が一カ所に集中しなくなり、やがて痛みがなくなってケガもしなくなりました。

背骨を動かせば、連動してほかの関節も動きだす!

 日常の歩く・走る動作も、体をねじって背骨を回旋(かいせん)させて動くのが効率のいい体の使い方です。体をねじらない(背骨の回旋なし)で歩く・走ると、『ゲゲゲの鬼太郎』の“ぬりかべ”のように手足だけ動く感じになります。

 ためしに腕を後ろで組んで走ってみてください。うまく走れませんよね。腕が使えないと走りにくく、バランスも取れないし、スピードも出ません。胸郭が動いて肩甲骨も動けば、腕が振れてスピードも出るようになります。

 中学時代のKくんも、背骨が動かないから胸郭が動かない、胸郭が動かないから肩甲骨も動かない、肩甲骨が動かないから腕も振れない、だからスピードも出ない、という状況に陥っていました。

 ランナーが「脚を動かすより、腕を動かせ」とよく指導されるのは、腕を動かせば脚も動くようになるからです。腕(手)と脚をつなぐのが背骨です。背骨のトレーニングをして、背骨がしっかり柔らかく動くようになると胸郭や肩甲骨が動くようになり、腕を振れるようになってスピードも出るようになりました。

 私はこれまでスポーツトレーナーとして、プロスポーツ選手や、高校・大学・実業団などのチームから、一般の方まで、病院や治療院で治らないケガや症状で苦しむ約3万人以上の治療やトレーニング指導をしてきました。