彗星の「チリ」と地球が
ぶつかることで流れ星が見える

先生 ああ、なるほど。先ほど、彗星のチリが地球へ「落ちてくる」と私は言いましたが、正確には、彗星のチリと地球が「ぶつかっている」んです。

ちよかさん おお。

先生 たしかに宇宙には重力はありません。でも「引力」というのが宇宙にはいたるところにあるんですね。

 引力というのは、簡単に言うと「何かと何かが引っ張り合う力」です。物と物の間には必ず、この引っ張り合う力が生まれます。当然、星と星の間にも引力が働いています。

 実は、地球と太陽も両方が引っ張り合っているんです。ですから地球は太陽の周りをぐるぐると回っています。同じように、彗星もぐるぐると太陽を回っています。太陽というのがあまりに大きいため、特に引っ張る力が強いんです。なので、太陽系の星たちは、ずっと太陽の周りをぐるぐると回っています。太陽というのはそれほど大きな天体なんです。太陽の周りを地球が回っているというのは、まだ学校では習っていないかな?

ちよかさん 本に書いてありました。

先生 「引力」というのは、「重力」とはまた違うものなんです。重力というのは、地球上での「重さ」のことを指しますよね。重力というのは、今言った引力と深く関係していて、地球が私たちを引力で引っ張っているために、私たちは重さ、つまり重力を感じているんですよ。

 ですから、宇宙には重力はありませんが、そこら中にこうした「引力」が働いています。この引力によって、彗星、そして彗星から出たチリが、引っ張られ、太陽の周りを回っている。そこに、同じように太陽の周りを回っている地球が、たまたま出合って、ぶつかってしまう。そうすると、地球の中からだと流れ星が落ちてくるように見えるんですね。なので、正確には、流れ星は落ちてくるのではなく、地球とぶつかっているんです。

9歳のギモンに国立天文台の先生がやさしく解説!「宇宙には重力がないのに、なぜ流れ星は落ちてくるの?」写真はイメージです。 Photo: themotioncloud/gettyimages

ちよかさん じゃあ、ぶつかってこないだけで、宇宙にはチリがたくさんあるのですか?

先生 そうです。宇宙にはチリが、ものすごく、ものすごく、ものすごーく、たくさんあるんです。

 そしてそのチリの一部と何かの星が、引力によって出合う。たとえばその星が地球であれば、たまたま地球と出会ったチリが、大気圏、つまり地球を囲んでいる空気のまとまりですね、この大気圏に突入すると、地上からは流れ星に見えるんです。

 どうかな? イメージできたかな?

流れ星を見るチャンスを
増やすための3つの条件

ちよかさん はい。最後の質問です。東京のほかにも、長野や石川へ行ったときに空を眺めてみたのですが、星があまり見えず、流れ星も見えませんでした。どうすれば流れ星を見るチャンスを増やせますか?

先生 それは残念でしたね。やっぱり都会のように街に明かりがたくさんあると、空も明るくなってしまいます。空気の中には物質がいろいろと入っていて、それがその明かりに照らされて、空が明るく見えるんですね。そして空が明るくなると、夜空にある星は見えづらくなります。

 星には、明るい星もあれば暗い星もあって、この暗い星がまったく見えなくなってしまう。流れ星にも、暗い流れ星と明るい流れ星があるので、空が明るいと、流れ星を見るチャンスも減ってしまいますよね。

 あと、流れ星がたくさん見える日というのがあるんですよ。たとえば毎年8月13日前後には「ペルセウス座流星群」という、流れ星のパレードが見えます。こういった日を狙うと、たとえば東京にいても、1時間に1〜3個は見ることができるんです。街の明かりがあまりないところでは、1時間に30個ぐらい見えることもあります。

 ちなみに、星を見るときはコツがあるんです。人間の目というには、明るいところから暗いところへ行くと、目が慣れるのに少し時間がかかります。ですので、15分くらい夜空を見続けて、星が見えやすくなる目になるよう、目を慣らしておくといいと思います。

 流れ星を見るために、ずっと空を見上げていなければならないというわけではないのですが、やはり長い間見ていると、それだけ流れ星を見るチャンスは増えますよね。もちろん、途中で休んでも全然大丈夫です。休みを取りながら、できれば1時間くらい夜空を見ていると、流れ星を見るチャンスがぐっと増えると思いますよ。

 ですので、流れ星がたくさん流れる日を狙う、できれば街から離れたところで見る、目を暗い場所に慣らしてから1時間くらい観察してみる。この3つが、流れ星を見るチャンスを増やすための条件です。

ちよかさん ありがとうございました。やってみたいと思います。

先生 こちらこそありがとう。途中、難しいことばもたくさんあったと思うけど、こうやって興味を持ってくれてうれしいです。がんばってくださいね。