9歳のギモンに国立天文台の先生がやさしく解説!「宇宙には重力がないのに、なぜ流れ星は落ちてくるの?」Photo: SVphotography/gettyimages

「流れ星の正体は?」「流れ星はどこから落ちてくるの?」「宇宙には重力がないのになぜ落ちてくるの?」「流れ星を見るチャンスを増やす方法は?」――。小学校3年生のちよかさんの素朴な質問に、国立天文台の流れ星の専門家がやさしく答えてくれました。(まとめ/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部)

流れ星は何でできているの?
どこから落ちてくるの?

女の子ちよかさん。好奇心旺盛な小学3年生。好きな漫画は『地縛少年花子くん』、好きなYouTuberは「ちろぴの」と「カラフルピーチ」。

ちよかさん よろしくお願いします。流れ星について調べているのですが、わからないことが3つあります。

 いろいろな本を読んでみて、流れ星は彗星(すいせい)のチリ(塵)ということがわかりました。でも、このチリは彗星のどこから落ちてくるのかがよくわからないんです。

先生 質問してくれてありがとう。流れていく形が「ほうき」のように見えることから、彗星というのは「ほうき星」とも呼ばれています。この彗星は、ほかの星と比べると少し特殊な星なんです。

 彗星というのは、そのほとんどが氷やドライアイスのようなものでできています。あとは、地球にあるような土や砂つぶが混ざってできている天体なんですね。「天体」とは、宇宙空間にある物体のことですね。でも彗星がほとんど氷でできているなら、ここからチリはなかなか飛び出してこなそうですよね。

ちよかさん はい。

先生 この彗星というのは、実は、太陽に近づいたり、遠ざかったりしながら、太陽の周りをぐるぐると回っています。

 太陽というのはものすごく熱いので、彗星をつくっている氷がとけてしまうんですね。そして一気に気体、つまりガスになるんです。

先生流れ星の専門家、国立天文台の佐藤幹哉(さとうみきや)先生。

 氷って、温めると水になりますよね。さらに温めていると水蒸気になりますよね。でも太陽の熱がものすごく熱いために、水になるのをすっ飛ばして、一気に気体になるんです。このように、個体が気体になることを正確には「昇華」(しょうか)といいます。

 ガスになると、そこに混じっていた土や砂つぶが、外へと勢いよく噴き出されます。そのようにして宇宙空間にばらまかれたものがチリです。これが地球へ落ちてきて「流れ星」となるんです。

ちよかさん 何となくわかりました。チリが何かというのは、なぜどの本にも書かれていないのですか?

先生 そうですね。子どもたちにわかりやすく説明する本がないのは、私たち専門家の責任でもあります。実はこうした質問は、私たちの元に多く寄せられているんです。お手紙もたくさんいただいています。それは、子どもたちが本を読んで調べようとしているのに、なかなかうまく説明している本が世の中にないからなのかもしれません。もうちょっとがんばって、皆さんにお伝えできるようにしますね。

ちよかさん はい。2つめの質問いいですか?

先生 はいどうぞ。

ちよかさん 宇宙には重力がないのに、どうやって流れ星は地球に落ちてくるのですか?