中国の内戦中に共産党が率いる紅軍の初期の拠点となった湖南省南部のこの村には、長年、何千人もの観光客が毎日のように訪れ、革命の歴史に浸ってきた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う移動制限やロックダウン(都市封鎖)により、過去1年ほどでその流れはわずかになった。中国政府は今年、制限措置を解除したが、沙州の住民によると、その後の感染拡大で混乱が続いている。人口500人のこの村に長年住む80代の農民、チュー・チョンションさんは「村の経済への影響は大きい」と話す。村では、多くの住民が今月の旧正月のお祝いの準備に追われていた。公衆衛生の専門家やエコノミストらは、旧正月の休暇シーズンにおける中国農村部の状況を注視してきた。出稼ぎ労働者が故郷に戻ることで新型コロナの感染者が急増し、地域の医療システムが対応できなくなることを懸念しているためだ。
新型コロナ、中国農村部の貧困層に打撃
都市との所得格差が拡大する中、経済不安がウイルスの恐怖を上回る
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