米国がウクライナに供与している兵器の量は目を引く水準だ。何千発もの砲弾やミサイル、何十万発もの弾薬など、少し例を挙げるだけでそれは分かる。全体の軍事支援パッケージは現在、270億ドル(3兆5100億円)超に上り、理論上は主要兵器メーカーの大きなもうけとなるはずだ。しかし、欧州における第2次世界大戦以来最大の地上戦は、米防衛産業に活況をもたらしてはいない。サプライチェーン(供給網)の混乱や労働市場の逼迫(ひっぱく)、何年もかかることがある国防総省の調達プロセスなどが足かせとなって、兵器メーカーは急増する需要への対応に苦心している。売上高で世界最大の防衛企業である米防衛大手ロッキード・マーチンは、西側諸国の対ウクライナ支援で中心的な役割を果たしてきた携行型対戦車ミサイル「ジャベリン」や高機動ロケット砲システム「ハイマース」を生産している。同社は先週、年間売上高が2年連続で縮小するとの見通しを示した。