リスクをとらなければ、報酬なし。ヘッジファンド界のスター運用者であるマーク・スピッツナーゲル氏に異論はなかろうが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した同氏の書簡には二つの面で目を引く洞察が示されている。「ブラック・スワン」の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏に師事するスピッツナーゲル氏は、自ら率いるファンド、ユニバーサ・インベストメンツが15周年を迎えるのに際し、通常の株式ポートフォリオをヘッジするためにこれを利用した場合、極端な弱気イベントに賭ける手法によって長期的なリターンを高められていたと指摘した。その主張は驚くまでもないが、彼の手法の絶大な効果には目を見張る。スピッツナーゲル氏によると、ユニバーサ・インベストメンツを2%組み入れ、残りの98%をS&P500指数に連動するインデックスファンドに投資することで、運用期間全体のリターンは年率11.8%になっていたという(インデックスファンドのみで運用した場合は年率9.6%)。同氏が書簡で述べているように、それは最初この組み合わせに1ドル投資していれば、現在は5.20ドルになり、ユニバーサに投資した2セントだけで1.30ドルに膨れ上がっていたことを意味する。ただしこれはリバランスを前提とした話だ。書簡では、同ファンドだけで年率114%という驚異的なリターンをたたき出したと主張している。