東京、大阪、横浜など日本の都市部で“激安青果物”が流通している。物価高騰で悲鳴が上がる日本列島で、中国系やアジア系資本による青果物の小売りが増えているのだ。中国・アジア系の青果物売り場が並ぶ横浜市のある商店街で耳にしたのは、「ゴミ野菜ではないのか」という地元の人々のうわさだった。(ジャーナリスト 姫田小夏)
安さで攻めてくる中国系店舗
少子高齢化や家業の後継者問題が顕在化し、地方都市のみならず都内でさえも一部の商店街ではシャッター化が加速している。日本全国どこの町でも、個人経営の八百屋さんや魚屋さんが姿を消して久しく、看板を残したまま廃屋と化す建物が無数に点在する。
ところが、筆者が訪れた横浜市南区の横浜橋通商店街は、青果物や水産物を扱う店がひしめき、活気に満ちていた。昭和3年から歴史を刻む同商店街は中華街にも近く、古くから「仕入れ先」として重宝された地の利とも無関係ではない。
横浜橋通商店街の八百屋や魚屋には、何十年も暖簾(のれん)を守る老舗もある。しかし筆者の目を引いたのは、中国語の簡体字の看板を掲げた新興の店舗だった。同商店街協同組合の高橋一成理事長に訊ねると、「コロナの3年間で、中国系の店が一気に増えた」という。