市場は最近の賃金・物価統計を受けて、景気後退(リセッション)に陥らなくてもインフレは抑えられるとの楽観的な見方を強めている。米連邦準備制度理事会(FRB)はぜひとも同意したいところだろうが、それはできない。いずれにせよ、今はまだ無理だ。FRBは1日、0.25ポイントの利上げや政策声明、ジェローム・パウエル議長の記者会見を通じて、従来の見解に変更がないことを明確にした。インフレ率はまだ高すぎる。金利がさらに上昇し、労働市場が軟化しなければ、2%の目標水準に戻ることはないだろう。市場とFRBとの見解の相違(FRB幹部の間での見解の相違、という様相も強まっている)の根源となっているのは、経済指標だ。一方では賃金と物価の伸び低下を示し、他方では経済、特に労働市場のスラック(緩み)が小さすぎることを示すというありさまだ。
FRBの本音は「インフレ圧力、衰えず」か
インフレ要因の大部分が一時的だと認めた一方、賃金・雇用統計から利上げをやめる理由はないと考えている
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