欧州は厳しい冬季を迎えたが、ロシアが欧州へのガス輸出を制限したことによる経済的ダメージは、記録的な暖冬に加え、新たな天然ガス供給源を見つける骨の折れる努力のおかげで限定的にとどまる。その代わりに、ダメージの一部は全く異なるガス市場、しかもロシアがその成長を頼みとしている市場に表れている。すなわち中国だ。いま起きている状況は、単に運が悪かった面もある。欧州とは対照的に、中国北部は強烈な寒波に見舞われた地域がある。だが中国のガス価格高騰は、不都合な現実も映し出している。ロシアが世界ガス市場における自らの影響力を兵器化したために、中国にいま経済的・政治的な問題が起きている一方で、中国の対ロ関係強化を十分生かすために必要なパイプライン新設は何年も先になるということだ。そのうえ、中国が2020年以降進めるエネルギー改革のせいで――環境面の理由からガス利用拡大を推進する大がかりな政策を推進している――、都市公益企業の一部は世界的なガス価格上昇の影響を受けやすくなった。結果の一つとして、法人顧客よりもガスの規制料金が安い住民の一部に対し、ガス供給を制限する事態となっている。
ロシア「エネルギー兵器」 流れ弾で苦しむ中国
欧州は驚くべき対応力をみせ、中国は北部の大寒波で窮地に
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