職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

職場の素敵な人と鈍感な人「メールの書き方に表れる」たった1つの差Photo: Adobe Stock

返信されるかどうかは、
気づかいの有無で決まる

 あなたは、メールに気をつかっているでしょうか。

 仕事ができて素敵な人は、メールの書き方にも、それが表れます。

 特に、相手を尊重できているかどうかは、相手の時間のことまで考えられているかどうかに出ます。

 私がよく聞く悩みに、「メールでいくつかの質問をしているのに、一部にしか回答がもらえない」というものがあります。

 鈍感な人は、つい「ちゃんと読んでいない相手が悪い!」と決めつけてしまうのですが、そうではありません。相手が100%悪いと決めつけるのではなく、送る側の気づかいが欠けていないかを考えてみましょう。

 たとえば、あなたが電話で問い合わせたレストランから、こんなメールが届いたらどう思いますか。

悪いメール例
 
お手数ですが、いま一度、ご来店の希望日時、人数、お子様の人数、ご利用の目的をご記入いただき、3月15日(火)までにお知らせください。

 いかがでしょうか。
 一読しただけで、すべてを一気に回答できるでしょうか。私なら、どれか1つは確実に書き忘れるでしょう。
 回答漏れがあるとメールの往復回数が増え、お互いの負担になります。

「つい返事したくなるメール」とは?

そこで、次のメールのような「箇条書き」が効果的です。

いいメール例
 お手数ですが、以下の3点についてご回答ください。

1. ご来店日時:  月  日( 曜日)
2. ご人数  :  大人  名
(小学生未満のお子様は別途子ども〇名とお知らせください)  
3. ご利用目的 (お誕生日など)

※3月15(火)18時までにご返信をお願いいたします。

 このように箇条書きには、回答漏れを防ぐ効果があります。
 こんなメールが来たら、1つずつ空白を埋めたくなると思います。そうやって、相手の負担をなくすことで、返事へのハードルが下がるのです。
 これも、相手の壁を尊重する例ですね。

 また、(カッコ)に例を入れておくと、相手はそれに倣えるので、そこまで補足すると完璧です。
 ちなみに下のように、強調したいところに「赤い文字」を使うのは、NGです

悪いメール例
 
お手数ですが、いま一度、ご来店の希望日時、人数、お子様の人数、ご利用の目的をご記入いただき、3月15日(火)までにお知らせください

 締め切りの日や禁止事項は、つい赤くしてしまいがちですが、受け取ったほうは「突き放された感じ」がするものです
 ビジネスライクになりがちなメールの文面でも、「自分がされて嬉しいかどうか」を軸に、気づかいの壁をお互いに越えられるようなものにしましょう。

職場の素敵な人と鈍感な人「メールの書き方に表れる」たった1つの差

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。