職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

「相談しやすい人」と「話しかけにくい人」、できるリーダーの決定的な差Photo: Adobe Stock

「話しかけるなオーラ」が出ている?

「なぜ、もっと早く相談してこなかったのか……」

 あなたが上司の立場なら、そんな不満を持つことはないでしょうか。
 あるいは、あなたが若手だった頃は、なかなか上司に相談ができなかったということがあるかもしれません。その理由は、

「忙しそうでタイミングが遅れたから……」
「そんなこともわからないのかと叱られそうだから……」

 という心理的なものが多いです。
 どうやら人は、自分が思っている以上に「話しかけるなオーラ」を出しているようです。

「上司に難しい相談を持ち掛けるときは、1日の予定表を見て機嫌の良さそうなタイミングを探している」という、部下の鑑のような人もいます。
 それも処世術かもしれませんが、あまり意味のある能力ではありませんし、他のことに力を注いだほうがいいでしょう。

「不機嫌」は事前にブロックしよう

 やはり、上司の側が話しかけやすい雰囲気を作ることが大事です。
 不機嫌な顔をしない方法は簡単です。

 デスクに鏡を置いてください
「話しかけるなオーラ」が出ているときは、たいがい険しい表情をしています。
 鏡を置くと、チラッと見るだけで、自分の表情に気づけます。

 あるリーダーは、自分が思っているよりも、仕事中に眉間のシワが深くなっていることに気づきました。それをきっかけに、自分の視力が低下していたことがわかり、メガネを作り替えたら表情が柔らかくなったそうです。
 これは何も、「常に笑顔でいろ」という意味ではありません。
 真剣に仕事しているときに、たまにふと、表情をゆるめることを思い出して取り入れてほしいだけです

 また、体調が悪い日や、納期の直前でゆとりがないときなどは、その時間帯を周囲に伝えておくのがおすすめです。

「この日は1日中、手が離せないので、何かあればメールをください。あとで必ず返事します」

 と伝えておけば、部下からも気軽にメールを送ることができます。
 自分が不機嫌に見えてしまうときは、あらかじめブロックしましょう。それによって、あなたに対する相手からの心の壁がグッと低くなります。

「画面越し」でも自分の顔を見る

 続いて、特に相談が増えている「オンライン会議」の例を紹介しましょう。
 会議やプレゼンでは、発言の中身を磨くのは当然です。
 しかし、ここでも相手からの「見え方」は重要な要素です。

 オンラインで目立つのは、照明不足や逆光で「顔が暗く映っている」という参加者です
 どんなに立派なことを話していても、表情が見えない相手では、なかなか信頼することができません。
 それに、「顔が見えにくい」という状態では、相手の集中も妨げられます。

 できれば、オンライン用のライトを用意しましょう
 あるいは、照明がよく当たる場所や日光の入る窓の近くに移動するだけでも、断然、顔が見えて効果抜群です。

基本は「顔出し」で臨む

 顔が見えるだけでなく、「表情」や「あいづち」「拍手のジェスチャー」などで「参加していること」が視覚で伝えられると、相手は安心します。
 ただし、動きがあまりにオーバーリアクションだと、画面の中がうるさくなります。
 ある講演家の先生は、

「大きくうなずいている人は、登壇者に『聞いているアピール』をしていることも多い。
 そして、確認してみると、さほど内容を聞いていない……」

 と嘆いていました。うなずくことが「目的」になってしまわないようにしましょう。

 オンライン会議でのカメラオンでの「顔出し」は、評価が分かれるかもしれません。
 企業によっては動作が重くなるからNGというところもありますが、選べるのであれば、「自分がされたらどうか」で行動しましょう。
 私なら顔が見えたほうがいいので、迷わず「カメラオン」で参加します。あなたもその考えならば、自分から進んで「顔出し」をしていきましょう。

「相談しやすい人」と「話しかけにくい人」、できるリーダーの決定的な差

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。