インフレでも金融緩和を続ける「黒田総裁」、デフレとの最終決戦に挑む“危うさ”2月3日、衆院予算委員会に臨む日銀の黒田東彦総裁 Photo:JIJI

日本は立派なインフレ
日米インフレ逆転の可能性も

 昨年12月の消費者物価(除く生鮮食品)は、前年比4.0%上昇し、9カ月連続で2%の物価安定目標を超えている。前月比では0.4%と、年率換算で5%近い上昇が続いている。生鮮食品とエネルギーを除いたベースでも12月は前年比3.0%の上昇となっており、立派なインフレが続いている。

 1月の東京都区部の消費者物価(除く生鮮食品)は前年比4.3%の上昇となっており、全国ベースも1月は同4%台半ばの上昇になりそうだ。2月になると、政府の物価対策によって家庭用電気・ガス料金が引き下げられ、消費者物価が1%ポイントほど低下するが、春以降は大幅な料金引き上げが見込まれている。

 日本の物価上昇率は、欧米に比べてまだ低い。しかし、欧米のインフレが落ち着いてきているのに対して、日本のインフレ率はさらに高まるだろう。日本企業が価格転嫁に舵を切ったとはいえ、欧米企業に比べれば慎重であり、販売価格に転嫁できてないコストの増加分がまだ残っている。このため日本企業による価格転嫁は、これからも続く。

 資源価格が低下に転じても、過去の上昇分が転嫁しきれてないので、消費者物価上昇率が素直に低下するとは言い切れない。すでに低下基調に入っている米国のインフレ率と、これからもまだ上昇が続きそうな日本のインフレ率が逆転する可能性も否定できなくなってきた。