雨宮正佳・日本銀行副総裁は、黒田東彦総裁の下で、異次元緩和の政策遂行を支えてきた雨宮正佳・日本銀行副総裁(左)は、黒田東彦総裁(右)の下で、異次元緩和の政策遂行を支えてきた Photo:JIJI

2月中には新しい日本銀行の総裁・副総裁の人事案が国会に提示される。政府が雨宮正佳副総裁に次期総裁就任を打診したとの報道が流れた。次期総裁には行き詰まりつつある異次元緩和の修正が求められる。そのかじ取り役として、異次元緩和の遂行を支えてきた雨宮氏は適任といえるだろう。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

黒田総裁の下で異次元緩和を支えてきた雨宮氏

 2月6日早朝、円の対ドルレートは1ドル=131円台から132円台に急落した。3日に発表された米国の非農業部門雇用者数の増加幅が事前の予想を大きく上回り、FRB(米連邦準備制度理事会)の早期利上げ観測が後退して、128円台から131円台に下落していたが、その動きに拍車が掛かった。

 その要因は何か。

 6日早朝に4月に任期が満了する黒田東彦・日本銀行総裁の後任として、政府が雨宮正佳副総裁に就任の打診をしたと「日本経済新聞」が報じたからである。

 中曽宏前副総裁、山口廣秀元副総裁、そして雨宮副総裁と、次期総裁として名前が挙がっていた候補の中で、市場が最も金融緩和に前向きとみていたのが雨宮氏だった。それ故、円は下落したのである。

 雨宮氏は、日銀の中で金融政策を担当する企画局畑を歩んできた。2001年には、世界初の量的緩和政策(金利ではなく日銀当座預金の残高を政策目標とする政策)導入を手掛けた。06年に企画局長、10年に理事、18年に副総裁と出世の階段を上ってきた。

 13年に就任した黒田総裁の下では、QQE(量的・質的金融緩和)やYCC(長短金利操作、イールドカーブ・コントロール)政策の導入などいわゆる異次元緩和を支えてきた。そうした経歴故に、国際畑を歩み、信用秩序維持を担ってきた中曽氏、白川方明前総裁の下で副総裁を務めた山口氏に比べて、金融緩和に積極的と市場はみている。

 任命権を持つ岸田文雄首相にとって雨宮氏は、自民党内を納得させやすい人物でもある。最大派閥の清和会は故安倍晋三元首相が進めたアベノミクス、異次元緩和の継続を求めている。その意味で、黒田総裁の下で政策遂行を支えてきた雨宮氏は異論が出にくい人選だ。